2020年03月のアーカイブ

暖かき大麦の種子胸に抱き今来たらんかなしくづし、、、、、の死

まゆみの実ひとつ飲みまたひとつ飲みつぐみが連れてくるよゆふやみ

あけぼののあからむ東尾をひきて投げられし白球たま男の子らの聲

どうしても声のかわりに鹿が出る あぶないっていうだけであぶない

仰ぎ見て我が天才を疑わず天地ひれ伏せ十六の夏

舟屋ってけっこう広いTシャツとカマスの干物が二月に吹かれ

一九四九年夏世界の黄昏れに一ぴきの白い山羊がゆれている

硝子が森に還れないことさびしくてあなたの敬語の語尾がゆらぐよ

ひたぶるに夜半のくらきに白蛾とぶその重き夜に堪へてゐたりき 

破壊もまた天使であるとグレゴリオ聖歌が冬の神戸を駆ける

くららかに思想の鞍部見さけつつけふをいのちと旅果ててゆけ 

高架下の長めに生きる猫たちに睨まれつつもかずを数える

人も馬も道ゆきつかれ死ににけり。旅寝かさなるほどのかそけさ

絵本には死の苦しみが描かれぬと言ふ子の不満さいごまで聴く

夕顔乾酪チーズ色にくさりて惨劇のわが家明くるなり*おはやう刑事!

はじめてのように見る虹 消えてゆく記憶のほうがいつでも多い

かけがへなき変身して森に樹をみがけ 風よりも風のやうに否定の像あり

ふる花をひろいながらに来るこども遠く見ゆ遠けれどよく見ゆ

陸奥みちのくのなほ奥ありて雪氷とざせるなかに火立ほだついのちは

ひとり子の先立ちしマリアの老後など思つてをればいひたきあがる

松影を浴みつゝゆくは哀しかり跳びかがよへる斑猫みちをしへかも

結婚二十年のひかりはどことなく凍蝶に似てしづかなひかり

青鷺、とあなたが指してくれた日の川のひかりを覚えていたい

飲みかけの缶コーヒーがあたたまる間もなく冷たくなって笑える

くらがりになほやみと呼ぶぬばたまの生きものが居て芝のうごく

木の影とわたしの影のまじりあひとても無口な道となりたり

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