コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2020年5月
春の岬旅のをはりの鴎どりうきつゝとほくなりにけるかも
雪を拂ひ 乗りてはおり行く人を見て、つくづくと居り。汽車のひと日を
何といふ死のまぶしさよ道の辺の馬酔木の花は陽にけぶりゐて
木漏れ日を浴び続ければ白樺の木になりそうなほどひとりなり
窓のそとに木や空や屋根のほんとうにあることがふと恐ろしくなる
囀りの声すでに刺すごとく森には森のゐたたまれなさ
雪に傘、あはれむやみにあかるくて生きて負ふ苦をわれはうたがふ
いにしへに恋ふる鳥かも弓弦葉ゆづるはのみ井の上より鳴き渡りゆく
さざなみの下はあかるき死の広場白き脊椎を曳きたる頭蓋
罌粟咲けば罌粟にあふるるおもひありてひと日陶器のごとく過ぐさむ
投稿ナビゲーション
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
次のページ