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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
前田 康子
卵焼き上手にできてわつはつはつ一人笑ひのこころ謎めく
薄れゆく記憶のひとつ 雨の日は算盤の玉が重かつたこと
病院のゆかに眠れずをりをりに覗く夫も眼あけゐし
虫籠のやうな肋骨わたしにもありて夜々こほろぎが鳴く
筆圧を等分にして書かれたる君の手紙は白を深めつつ
父母がつけたるならん次々に名を呼ばれ氷上に出で来る選手
除染とて地の面までも剥がれつつ見る見る町が無くなりそうな
百キロで走ってごらん掌を出せば触るる空気は乳房の如し
ハートには尖るところと凹むところひとつずつあり今凹むところ
無人野菜売場に小さき筍が男雛女雛のごとくに置かる
鞍馬山歌の石とは知りながら君仮初めに住むここちする
わが胎より出でたる者を何(なに)のそのと妻はためらはず子供の日記読む
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