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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
澤村 斉美
谷地に湧くみづが金だらひほどの光りそこに順序に鳥の来たるも
血は出口探して巡れるものならず夜の運河と遥か釣り合ふ
真夜中の鍋に林檎はほろほろと心細(うらぐは)しいのち煮詰められたる
あはと消ゆる南のゆきのかろきをば降らせたやなうそなたがうへに
すこしわれ生き過ぎたのかとおもふとき森はしづかに大寒に入る
誰がせし〈歌のわかれ〉か書き込みの多き歌集が箱で売らるる
あづまののけぶりのたてるところみてかへりみすればつきかたぶきぬ
曇天に赤きアドバルーン浮き上がり「つひのすみかがお買ひ得です」
くちびるに迫る夕日のつめたさを海に告げたり海はわらふも
居酒屋のほかげにたちて賤の男がかぞふる銭に雪ふりかかる
あれぬ日のゆふべの空はのどかにて柳のすゑも春ちかくみゆ
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