コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
黒瀬 珂瀾
昨夜(きぞ)の雪消えぬ尾根より風来たり言葉いくたび人に滅びし
ちちははの生の緒しぼむ寒き昼うどん煮る湯が噴きこぼれたり
「ぜんぶ好き」以外出口のない問いに「おっぱいです」で勝負して散れ
イヤフォンのコードに手繰るiPod nano わかさぎを釣る要領で
河豚刺しを皿より箸に剝がしおり弔辞少しく褒められて来て
ゲットーの四角い窓から降る雪をみているもうすぐ永遠に留守
何ぞ背後に燃やす画面やほれぼれと聞き取り易き移民の英語
ヨーグルトかきまわし白で白覆う とりかえしつかぬことはもういい
いきなり父は十露盤(そろばん)を投げつけつ歌などいぢりのぼせてをれば
とつくにの丘にたしかに建っていた鐘楼あれはわたしのあばら
あらたまのわらべ歳神(としがみ)よく肥えてまろまろ笑ふ春の日の中
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
12
固定ページ
13