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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
中津 昌子
こうやって母もぼんやり眺めてたやかんの湯気が激しく沸つを
厚らなる手の感觸はあくしゆせる時以後夜のいねぎはまでも
モルワイデ図法の地図にゆがみゆく極東といふさびしさのきはみ
雪の夜は雪のむかうにもうひとつ街あり馬に乗る人がゆく
母語圏外言語状態(エクソフォニー) この美しき響きには強風に立つ銀河が見える
夜の梢ふかぶかとせる地上にて少年が少年とボール投げあう
妹の門鎖(さ)されゐて仕方なし土産の乾燥芋を投げ込む
蔑(なみ)されて美(は)しき東洋黒馬の踏みたつごときSUSHI・BARの椅子
上官でありし男の死を聞いて一人笑いをしている父は
大いなる火皿となりて阿蘇ありし誰の死後ともなかりし劫初
バス停に忘れしカバン取りに行けばわれを忘れて静けきカバン
かさはさか きゆはあはゆき くさはさく 循環バスは渋滞の中
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