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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年1月
冬の朝つめたき陶となる髪に従容と来てひとは唇触る
寄るべなき思ひにひらく枕絵の火鉢に赤く炭は燃えをり
なだれこむ青空、あなた、舌の根をせつなくおさえこまれるままに
たそがれてゆく樹木らもしばらくは影暖かし人のごとくに
みづからの恋のきゆるをあやしまぬ君は御空(みそら)の夕雲男
トウキョウノユキハナキムシぐちゃぐちゃに轢かれた青い雑誌を濡らす
父さんを忘れたと母が言ふときの父さんは空に咲くはなみづき
流れよる雪のひとひら幸あるは少女のうすき手のひらにのる
影として水面うつろふ水鳥にこころ寄りゆくふたり黙せば
カレンダーの反り美しき一月の泉のごとき十日間ほど
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