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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年7月
スプライトで冷やす首筋 好きな子はゐないゐないと言ひ張りながら
ダライ・ラマ帰るなき夏の宮殿に咲き盛る僧衣に似たる緋の花
麦藁帽似合ふ男になりきしを朝の鏡にふとさみしめり
折々の母老いしむる「ありがとね」その不可思議な響きのにがさ
頭(づ)のうへを蜻蛉つーい、つーい飛ぶ明日といふ日はあさつてのきのふ
万緑に隧道(トンネル)ふかく穿たれてあばら骨愛しぬきたる闇
このキスはすでに思い出くらくらと夏の野菜の熟れる夕ぐれ
遠いドアひらけば真夏 沈みゆく思ひのためにする黙秘あり
夜の道に敷きたるゑんじゆ花殻の生(なま)しきを踏む靴の裏にて
かなかなやわれを残りの時間ごと欲しと言いける声の寂しさ
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