コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2010年12月
鹿の肉切り裂くに顯(た)つ伏す鹿の伏せし睫毛の伏せし深翳
かたつむりとつぶやくときのやさしさは腋下にかすか汗滲(し)むごとし
雪の夜はをみななるわれ温石(をんじやく)の言葉となりて夫を寝(い)ねしむ
燐寸使ふことの少なくなりしより闇照らすなし濃密の闇を
誕生日祝ういわおうエスキャルゴオの殻から黒い身をぬきだして
ジャガイモの芽を丁寧にとりながらまだ沈黙に慣れない背中
木陰にてさくりと鍬をふるう祖父影をもたぬは哀しきことよ
〈中ピ連〉をネット検索せしときに「中年ピアノ愛好者連盟」が出る
薬臭のなかにかすかに乳の香す母をベッドへ抱きおろせば
もう充分にあなたのことを思つたから今日のわたしは曼珠沙華
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
次のページ