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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2011年2月
こちらは雪になっているのを知らぬままひかりを放つ遠雷あなた
カーテンに春のひかりの添う朝(あした)はじめて見たり君の歯みがき
雪を落とすために震える黒い傘細部まで見よという声がする
日にうとき庭の垣根の霜柱水仙にそひて炭俵敷く
人のをらぬ改札口を通り過ぎやうやく僕の無言劇果つ
看板に〈傍観者〉とありときをりは店主が出でて小窓を磨く
歌棄(うたすつ)とう地名を知りぬ歌棄の地には如何なる月さしのぼる
中庭にはたんぽぽ長けているばかりホムンクルスが薄く目をあく
校庭に脱ぎ捨てられたジャージ、靴、夢 一斉に朝になろうか
とつぷりと暮れたる街に漕ぎ出だす身はよるべなき遺伝子の船
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