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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2015年6月
たはむれにロシア人ひとり生み出しぬステパン・アサリノヴィチ・フローニン
もう二度と行くことのない秘密基地こころにひとつ抱えて眠る
艦砲射撃坪九百発の読谷村ハイビスカスは芯立てて咲く
鈍器もて人打つごとき音をたて自動販売機のジュース落つ
ほしいままに眠るといふこともあらざればじんじんと頭の芯のつめたさ
黴くさき書をめくりゆくわが指の間近くありてふれぬひとの指
ひしひしと頰を打ちくる草の実のけはひばかりに形は見えず
つまさき立ちのエノキ無音に叫びをり「わが従順を侮るなかれ」
一秒後には冷えにけりさわらびのぼくと天使とぼくのスラング
窓のそとに木や空や屋根のほんとうにあることがふと恐ろしくなる
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