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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
吉野 裕之
石臼は石となりつつ 庭の上に白く光れり時雨のときは
ママ なぁに ママ 気泡の如き会話する 君小さくて小さくて 夏
川を呑み川を吐きだす橋といふさびしきものの上を歩めり
雲を雲と呼びて止まりし友よりも自転車一台分先にゐる
にぎりしめる手の、ほそい手の、ああひとがすべて子どもであった日の手の
降る雨の夜の路面にうつりたる信号の赤を踏みたくて踏む
子ども神輿のワッショイワッショイやけくそな掛け声さえも受け継がれてる
ふるさとで日ごとに出遭う夕まぐれ林のなかに縄梯子垂る
わたしたち全速力で遊ばなきや 微かに鳴つてゐる砂時計
未来より借り物をするさみしさに書物なかばの栞紐ぬく
もう愛や夢を茶化して笑うほど弱くはないし子供でもない
「夕顔の苗は残つてゐますか」とFAXを送る 地下街の花舗へ
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