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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
家々に釘の芽しずみ神御衣(かむみそ)のごとくひろがる桜花かな
ほらあれさ何て言ふのか晴朗なあれだよパイナップルの彼方の
白鳥の飛来地をいくつ隠したる東北のやはらかき肉体は
思ひ屈してゐたるわが身は立ち上り食ととのへむ籠さげて出づ
真木(まき)ふかき谿よりいづる山水(やまみづ)の常あたらしき生命(いのち)あらしめ
残党を狩るごとく口腔内のフォワグラ舌で拭ひたりけり
人どよむ春の街ゆきふとおもふふるさとの海の鴎啼く声
干し網は白く芝生にうたれつつ輝く時のいまは過ぎゆく
心底をのぞけば仏像を彫る男ゐて折々の鑿(のみ)が光れり
しづけさは座卓のしたのゆふぐれの猫のぬくもり右腿に添ふ
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