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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
石川 美南
折り返すマラソン走者のおほきなる呼吸がわれの呼吸こえゆく
あまだむ軽きジャンプの終るまで地球の自転やや遅くなる
いくたびも顎打たれたるボクサーのふたたびを起つ意志を恐るる
霧深きテニスコートにボール打つ少年の脛細ければ消ゆ
身の中にマブチモーターを仕込んでるとしか思えぬ奴の素振りだ
両親が出会ったという群青の平均台でおやすみなさい
のちの世に手触れてもどりくるごとくターンせりプールの日陰のあたり
せりあひの球辛うじて蹴り出だしはづみに体宙に浮きて墜つ
一夜漬けの一夜があらず文月に素手で試験に子は立ち向かう
水をあげてもあげても枯れる庭なのにあとからあとから観客が来る
春愁が人のかたちをしてわれに会ひに来てもう六人目なり
犬小屋はやみの住処となりはてて媼が見よといふ犬みえぬ
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