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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
石川 美南
エンターキー押して改行のみをせしごとき一日(ひとひ)の果ての満月
ばら縷縷と続くばら園 ゆく先に花ある生(よ)などもはや思はぬ
すべての菜の花がひらく 人は死ぬ 季節はめぐると考えられる
エスカレーターいったん平たくなるところわりと長くて歩きだすところ
マンホールの上を行くとき水音を聴きとめて「川なの?」と妻は訊きたり
日本人は刻苦勉励をこのむゆえ最終回にクララは歩く
折り目よりちぎれゆく地図アラビアの海の青さをテープにとめる
デスマスクとられしおそれ水無月の油なす闇に顔をひたせば
てふてふのてんぷらあげむとうきたてば蝶蝶はあぶらはじきてまばゆ
いじめっこの名前わたしに記憶なしあんのんと生きていろよ名無しで
蝸牛つの出せ青葉の雨あとに人間のほかなべて美し
ながらへて脆き前歯を欠かしめし白桃の核を側卓に置く
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