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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
棚木 恒寿
わが泣くを少女等きかば/病犬の/月に吠ゆるに似たりといふらむ
暴風雨(しけ)あとの磯に日は冴ゆなにものに驚かされて犬永う鳴く
樹(き)によりて物を思ひぬ、君去りて朽葉しづかに匂ふ秋の日。
水槽の魚運ばるるしづけさを車中におもへばたれも裸体なり
校庭に水木見上げて立ちおれば事務長が来て水木見ずゆく
人間を休みてこもりゐる一日見て見ぬふりの庭の山茶花
鳩の咽喉腫れしゆうべは西空の奥ふかくあかあかとにじむ夕映え
桐のはな医院のうらにほのみえてやわなるものをおもう ゆうぐれ
春の日の男の喉に球根のような突起は光りていたり
水の面を出でこし鴨の歩きやう彼の水掻きの色に感じのあり
月足らずで生まれたらしい弟を補うようにつきのひかりは
凍死せし犬蹴とばせば木のごとき音を放ちて雪にうづもる
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