2013年01月のアーカイブ

霊魂の(脆き)甲鎧、か? 若者の(滑らかで涼しき)素裸、は

寝る前のしどろの闇の弾力は押し返しくるいきほひ持てり

心臓穿刺して鮮烈に血は噴き出ず Sursum cordaと鳴く海猽の

内臓のひとつかすかに疼きゐる春の地球に雨降りそそぐ

何ものの声到るとも思はぬに星に向き北に向き耳冴ゆる

夜学終え歩む一人の長き影われに追われて揺るるわが影

生まれては死んでゆけ ばか 生まれては死に 死んでゆけ  ばか

地の上に立ちてほのぼの空仰ぐ人間というかたちに生きて

万座毛に昔をしのび巡り行けば彼方恩納岳さやに立ちたり

夜は巨大なたまご生むとぞ闇深く匂へるまでに黒きたまごを

冬波のしぶきのあとの乾きたる眼鏡をはずし卓上に置く

燐寸と書きてマッチと読むことを知らざる子らが街を闊歩す

題名が怖くて長く読まざりし『とびらをあけるメアリーポピンズ』

西日カッと部屋にさしこみあらあらと一枚の壁起ちあがる

よきものとなりますように 落鳥の地から萌え出る楡の木もあり

花育て草抜き落葉掃く日々を重ねて青年と呼ばれずなりぬ

憧れは哀しからずや病窓に 果実に飽きしみどりごのあり

躓きし足よりその日そこにいし石の不運の方が痛しも

コカ・コーラじんじん甘し身のほどの泪の薄くにじみくるまで

にがき夏まためぐり来て風が揉む無花果に不安な青き実の数

本当のことを伝へて憎まれてあげるくらゐの愛はなくつて

追突のトラックの音するどくて群集のなかわれは笑えり

せまりたるこの決戦の様相に一億のみ民直にいむかふ

たたきのめされ がーっと家が 無惨無情のこっぱみじんに

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