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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年8月
ぶどう・デラ 一房もぎて秋の陽に妊婦はあおき水透かしたり
野イバラが素足に痛くて今きみをみたら泣いてしまうなきっと
恋人をそれぞれの胸が秘めている不思議さ行き交う人のシャツ見る
木の匂いする言葉かな今君がわが耳近くささやきたるは
はてしなき夢魔におそはれゐるやうな一生(ひとよ)とはいへ 冷涼の秋
我のみが知る記念日は数ありてそのたびひとりのさびしさに気付く
梨に刃を差し込みながらたしかめるどこまで君をわかっているか
男(お)の幼なわが膝に顔を打ち伏せてしばらく居たり何をも言わず
人はみな見えない猿を背負(しよ)つてゐる華氏一〇二度の空に圧(お)されて
きみが父となる日の暮れの灰色の魚とおもうわがひだりうで
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