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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2012年1月
こよひはたれが逝く斑鳩の参道をまっすぐに来る無人の自転車
冬越えむとして厚き葉がかたはらの祈りのごとき幹に触れをり
ひつそりと濡れしガーゼが垂れてをり百葉箱の闇を開けば
ダイヤモンドゲームの駒を青と決めいちばん遠い場所にゆく旅
とよめきて悶すぎたる胸の野やたのしき鳥と眠は来ぬる
降る雪も過ぐる時雨も沁まざれば我が深淵のかたち崩れず
すでにして階下ゆふぐれ縹いろ跣(すあし)つまさきそとさし入れて
餅のかび百合の根などのはつかなる黄色もたのし大寒の日々
ドアを出(い)ず、――/秋風の街へ、/ぱつと開けたる巨人の口に飛び入るごとく。
キャベジンの空き箱ひとつ抱えつつ網棚はゆく電車に乗って
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