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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2013年7月
坂の上に桜揺れおりうっすらと眠りが坂よりおりてくるなり
もう死にたい まだ死なない 山須臾の緑の青葉 朝の日に揺れているなり
午後三時県境に雲影(エコー)あらはれて丹波太郎はいま生まれたる
十四インチ望遠鏡のレンズいつぱいに這入つて来た巨大な月!
前よりはきたらず後より追いついて追い越されゆく齢とおもう
まるまると尻割れズボンよりこぼれたる白桃ふたつ小川に映る
枯れ色にもう抗わぬ冬の街に赤信号は明滅しおり
フライパンに胡麻をゆすれば胡麻のなき円形現はる つねに一か所
淋しさは壊してしまえ生牡蠣(なまがき)に檸檬をしぼるその力もて
暗やみにマッチをすりて残像のかがやく視野をしばらく歩む
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