コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2014年8月
燕飛ぶ空を仰ぎて立ち尽くすわれ兵たりき人を殺しき
ひとりゐて魚焼きをれば魚の眼の爆ぜてこぼれぬしづかなる日よ
天皇を泣きて走れる夜の道の草いきれこそ顕ちくるものを
戦ひに敗れてここに日をへたりはじめて大き欠伸をなしぬ
明日という日もなき命いだきつつ文よむ心つくることなし
抑留に働きし炭鉱のブカチャチャ炭弟が輸入せるとふ奇跡
夜をこめて板戸をたたくは風ばかりおどろかしてよ吾子のかへると
八月のまひる音なき刻(とき)ありて瀑布のごとくかがやく階段
六十年むかし八月九日の時計の針はとどまりき いま
人に語ることならねども混葬の火中にひらきゆきしてのひら
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
次のページ