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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2014年12月
花ささぬ瓶(かめ)のごとしと人のいふとも、老づきて独りゐる時のこころの安けさ
あしひきの山の木末の寄生とりて插頭しつらくは千年寿くとぞ
浴身のしづけさをもて真昼間の電車は河にかかりゆくなり
年くると世はいそぎたつ今夜しものどかにもののあはれなる哉
半開きのドアのむかうにいま一つ鎖(さ)されし扉(と)あり夫と暮らせり
たが宿の春のいそぎかすみ売の重荷に添へし梅の一枝
開張する前翅は十三センチ越ゆるなるドクロメンガタ蛾は鼠の声す
あたらしき背広など着て/旅をせむ/しかく今年も思ひ過ぎたる
ガス室の跡なりと いう崩れた る煉 瓦昨夜の雨にしめれり
南の阿波岐の浜に我在りて想ふ事なし年暮れにけり
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