2018年01月のアーカイブ

高校の夢を見ており 竹内が群れからはなれわが部屋の戸に立つ

とても長い時間をかけてお互ひの心情を知つたからには別る

遠き雲の地図を探さむこの町をのがれむといふ妹のため

思うひとなければ雪はこんなにも空のとおくを見せて降るんだ

鉄のよこたわる雨野をぬけてきたような声もつ不在者あなた

白鳥と太陽が呼吸をとめる一瞬のまぶたのようにあなたであった

玉乗りの少女になってあの月でちゃんと口座をつくって暮らす

さからはぬもののみ佳しと聞きゐたり季節は樹々を塗り籠めに来し

「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ

猫をわが全存在でつつみ抱くともだちになつてくれたら魚をあげる / その②

みづうみは夢の中なる碧孔雀まひるながらに寂しかりけり

猫をわが全存在でつつみ抱くともだちになつてくれたら魚をあげる / その①

生活がやってきて道の犬猫が差しだす小さく使えないお金

熱帯魚のごとくかすかに触れあひてときに食ひあふ冬の家族は

晴らす(harass) この世のあをぞらは汝が領にてわたしは払ひのけらるる雲

海に山に行きたけれども行けざれば裏のグラウンドで夕陽をながむ

レスラーはシャツを破りて瞳孔をひらいてみせる夏の終わりに

くり返しあなたに壊れてゆく雪の壊れる速度それぞれにあり

ともだちのこどもがそこにゐるときはさはつてもいいともだちのおなか

まだ知らぬ界にしあればいかやうに死を惟ふとも挽歌つたなし

灼(や)きつくす口づけさへも目をあけてうけたる我をかなしみ給へ

指一本ゆびいつぽんとてのひらをひろげてやれば ふふ、何もなし

雨戸のむかうは海であつたといふやうな朝は一度もなくて古き家

忘れむとするならざれど面影の立つやこころのをののきて閉づ

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