2018年03月のアーカイブ

さうめん流しひゃーとさうめん流れゆきわれとわが母取り残されぬ

pianist 左手にキウイのいろと右手にストロベリーの色と

ことば持つゆゑのさびしさ人を恋ふにもあらざれど猫にもの言ふ

差し向うさびしさしりて一脚の椅子とむきあう相聞歌篇

海だったはずのシャワーを浴びている さっきまでふたりがいた海の

秋になれば秋が好きよと爪先でしずかにト音記号を描く

心いま針のようなりひとすじの糸通さねば慰められぬ

バレリーナみたいに脚をからませてガガンボのこんな軽い死にかた

目印に名前のシールではなくてばんそうこうを貼る友がいる

噴水が今日のさいごの水たたみ広場に蝶やダリアさまよう

ねむたさとさびしさをよりわけたあとねむたさに寝る 春の新月

春の日のななめ懸垂ここからはひとりでいけと顔に降る花

おしゃべりは咲いては枯れてまた咲いて矢車菊の蒼い夕暮れ

Tシャツを千枚脱いだら目覚めたの すみやかに来てグラン・パ・ユング

憧れの山田先輩念写して微笑む春の妹無垢なり

四年前グアムで買った星型のにこにこシールを使い始める

遠慮がちに恋打ち明くるひとのごと木漏れ日は吾子の指へと届く

ゆくりなく枯野へと鶴まひおりて風景が鶴一羽へちぢむ

すれ違うときの鼻歌をぼくはもらう さらに音楽は鳴り続ける

トンネルとトンネルの間のみじかきに朽ちたる家を車窓は映す

くちなしの香るあたりが少し重く押しわけて夜のうちを歩めり

隠さずにどうしてそれを告げたのかはじめはまるでわからなかった

夜の道に呼ばれてふいをふりかへるそこには顔があまたありすぎ

【編集部よりお知らせ】

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