2019年12月のアーカイブ

花山周子/もう無理!無理無理無理無理テンパってぱってぱってと飛び跳ねており

生沼義朗/手すりへと寄りかかりおれば頭皮さえ放電している冬日のあわれ

なみの亜子/見飽きねば見続けるなり桜の体ゆっくり雪に描き出されるを

穂村弘/猫はなぜ巣をつくらないこんなにも凍りついてる道をとことこ

相原かろ/煌々とコミュニケーション能力が飛び交う下で韮になりたい

大松達知/四歳をぐぐつと抱けば背骨あり 死にたくないな君が死ぬまで

前田康子/縁側で祖母がすることぼんやりと見ていないようで見ていたんだ

小池光/さつきまで目の前に居りしが忽然と消えてなくなりし田村善昭(よしてる)

今橋愛/この子ねことちがうか/ふとんにくるまる子/このこねこでも/この子/あいする

河野裕子/灯の下に消しゴムのかすを集めつつ冬の雷短きを聞く

お知らせ

田村よしてる/いのちあるすべてのものを同胞としたり若冲、ダ・ヴィンチもまた

山崎聡子/さようならいつかおしっこした花壇さようなら息継ぎをしないクロール

小坂井大輔/食べてから帰れと置き手紙 横に、炒飯、黄金色の炒飯

小島なお/ジーンズがほそく象る妹の脚の間を日々が行き来す

清水正人/いちめんの嵌め殺しの波しんしんと調理場の窓海に向かへり

栗木京子/雪原にひとつともしびあるごとく耳下リンパ腺腫れゐて眠る

柴善之助/ガードマンは天丼に対うすぐ裏の工事現場の土をこぼして

栗木京子/観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)

松﨑英司/花豆の蜜煮の艶のうれしくて人肌の鍋は静かにしまふ

永田紅/人はみな馴れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天

金津十四尾/雪ふらぬ大寒にわが手ひび割れず雑誌返品の荷造り捗る

マツコ・デラックスの愚痴と重なつた深夜 テレビの前にひざまづく

小川太郎/五行削れといわれ結局削りしはやはり個人的思い入れ部分

梅内美華子/能面の内より見る世はせまく細くただ真つ直ぐに歩めよといふ

齋藤芳生/林檎の花透けるひかりにすはだかのこころさらしてみちのくは泣く

梅内美華子/追悼式典ぶ厚き防弾ガラス立つ屈折率強き光をとほし

淡島うる/ちゃんとした肉をちゃんとした炭で焼きちゃんとした米で食ってから行く

梅内美華子/うつしみは精肉売り場に漂へる漂白剤のにほひに冷ゆる

鈴木智子/屋上で白く干されたシーツたち五月はきっと揮発する夏

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