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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2020年1月
椽臺に帽子を脱ぎて仰ぎ見るその紅葉もみぢの木このもみぢの木
深海魚光に遠く住むものはつひにまなこも失ふとあり
おとなしく人の流れにはこばれて道具屋筋で脇にそれたり
むきだしのそんざいならぬもののなき炎昼をつりがねの撞かるる
門かど柳やなぎあかるく透すきて広池ひろいけの向うをとほる滊車きしゃあらは見みゆ
ふるとしの雪やいづくとあざかへしこのとしこの日趾とふなゆめ
明けきらぬサントス港に船出待つニュークロップが青く匂へり
「悪の華」と「実践理性批判」とがせせら笑へり肩をならべて
ベビー服のうえを模様が通りすぎ赤ちゃんはみな電球のよう
わが心深き底あり喜よろこびも憂うれひの波もとどかじと思ふ
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