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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2020年6月
透明な魚を硝子の鉢に飼ふ少女は病める脊髄もちて
わたしここで何やってんのと呟けば海ハイ雲ヴァン峠にたなびく霞
わがうちに崩壊しゆくものの音聞ゆるごとく窓に月照る
うすぐもる青葉の山の朝明にふるとしもなき雨そそぐなり
湖うみのほとり青の光につつまれて神はしだいに遠のきたまふ
海色のききょう咲きたりぽぽぽんと夫の告別より戻り来たれば
かたはらにおく幻の椅子一つあくがれて待つ夜もなし今は
蝶なりしころの記憶が湧き出でてスティック糊がころんとうごく
幻燈に青く雪ふる山見えてわれに言こと問うかえらざる声
つたかづら生き生き家を巻き締めて閉ぢこめられし仏壇ひとつ
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