2020年08月のアーカイブ

ネアとぞ名乗る戀びと宵宵にダイヤモンドを砕くかなしも

志賀の浦梢にかよふ松風は氷に残るさざなみの声

いちじんのわたしは春の風である環状線の森ノ宮駅

胸びれのはつか重たき秋の日や橋の上にて逢はな おとうと

世間よのなかは霰よなう 笹の葉のの さらさらさつと降るよなう

天たかく馬がこえてはならぬ一線をこえわたしもつれてって

ルリカケス、ルリカケスつてつぶやいた すこし気持ちがあかるくなつた

より似合う彼女にぬくいジャケットをゆずり晩夏の使命を果たす

大らかに夏雲はしる野の森の泉に足を洗ひてゆきぬ

鳰どりは水にもぐりてみづになり浮き出でてみづは鳰どりになる

流れないのなら僕はもう帰るよカシオペアを空に残して

コピ・ルアクしずかに啜る春の宵きみは時折山猫の伸び

梅の花りおほふ雪をつつみ持ち君に見せむと取ればにつつ

花が咲いたようだと花をあげるからと花咲かせよと微笑むばかり

わたしにもやさしい背中があったよね ランプのような猫の背をみる

鳥貴族で金麦(大)を頼まないとかリッチマンですかあ? じゃないんですよ

舌という湿原を越えてやってくるやさしくなりきれない相槌よ

いままで 日本語をつかっていたのに今日からは雨と話せるようになりたい

秋が来る 床屋の椅子に重大な秘密があってほしいと思う

【戦争にいかせたくない わたし自身が戦争になってもこの子だけは】

黙祷の一分間をさしはさみ茫たる午前午後となりゆく

この冬のあい間あい間に春の風吹きいたり引きちぎられてゆく四季

かくろひし水路さがしていくこころ万葉集はとほき口笛

思想誌を凶器のごとくあふれしめ書肆に兵士の裔ならびたつ

つかみつつ、探るのだ、その軟便を、或いは便座そのものをさへ

蛍火といふからには火 親指のふかづめを隠して受け取りつ

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