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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2021年3月
樹によれば樹、地に臥せば地の命なり 弾はずれ来て我を生みし母
入日さすあかり
障子
しやうじ
は
薔薇色
ばらいろ
にうすら
匂
にほ
ひて蠅一つ飛ぶ
夕焼けと青空せめぎあう時を「明う暗う」と呼ぶ島のひと
なんとなく火の用心の拍子木を追い抜かさないようにゆっくり
いまわれは吾子を殺せりまなうらがこんなに熱き怒りのうちに
嘴太のくろびかりせる一体が
擬木
ぎぼく
の柵に降りてをるところ
これでなにか美味しいものでも食べなさいと一万円をわが掌にかくす
かじかめる手をば擦りつつ雪の日の水場までくだり来しソクラテス
結局はこの人から生まれたのだ蟬のしき鳴く未明ちかきに
ついと
出
で
し切符をつまみ抜きしのみに自動改札すでにとほりぬ
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