松村 由利子


ああぼくが愛した白いブランケットに今年の秋の光が積もる

       藤田千鶴『白へ』(2013年)

 

「ブランケット」という言葉から、「安心毛布(security blanket)」を思い出す。スヌーピーでおなじみの漫画「ピーナッツ」に登場するライナスという男の子がいつも毛布を携えているように、幼児が安心するために肌身離さず持っているお気に入りのものを指す。

「白いブランケット」はかつて、「ぼく」のお気に入りだった。もう「ぼく」は幼児ではなく、ある程度成長を遂げた少年なのだ。けれども、幼かった日々を哀惜するように、今も「白いブランケット」は清潔に保たれ、今も見えるところに置いてある。結句の表現は、洗い晒したブランケットのやわらかな、毛羽だった表面さえ思い浮かぶようだ。

この少年は、これから思春期を迎え、やがて大人への仲間入りを果たさなければならない。子ども時代との別れを予感した悲しみが、「ああ」であり、「今年の秋の光」へのまなざしなのだと思う。

作者が童話を書く人であることを思うと、この歌が描き出す一篇の童話のような雰囲気がとても納得できる。ブランケットの「白」と「秋の光」の取り合わせの何と美しいことだろう。