大松 達知


きんにやもんにやきんにやもんにやと踊りゆくしだいにきんにやもんにやにわれもなるなり

                          馬場あき子『太鼓の空間』(2008年)

 歌はリズムである。生きることもまた、リズムである。しかし、われわれは、ついついそのことを忘れて、理屈の方向へ行ってしまう。

 もちろん、リズムだけでは歌も、生活も、社会も成り立たない。

 「きんにやもんにや」10首中の1首。直前に、

隠岐びとはしやもじ手にして踊るなりきんにやもんにやといふよろこびを

がある。隠岐への旅行詠である。旅行詠の名手・馬場ならではの、その土地へ溶け出してゆく心が見える。

 調べてみると、「キンニャモニャ」という表記もある。
 島根県隠岐郡海士町のホームページには、「キンニャモニャ宣言」があって、

・海士町発祥の隠岐民謡「キンニャモニャ」には、本町の自然と文化・人情が上手にうたい込まれています。

と書かれている。

・きよが機おりゃキンニャモニャ/あぜ竹へ竹/殿に来いとのキンニャモニャ/招き竹キクラゲチャカポン/持って来いよ

 で始まる歌詞?も掲載されている。You Tubeでは、片足を上げてその下でシャモジを打ち鳴らす、踊りも見られる。

 ときどきこういう歌が入っていると、短歌のリズムを楽しむことの喜びを思い出す。昔から今に伝わる言葉、とくに、体と心とが直結した言葉を歌にしておくのは、楽しく、貴重なものだ。ああ、きんにゃもにゃ。