吉田 隼人


かつ凍りかつは砕くる山川の岩間にむせぶ暁の声

藤原俊成(引用は塚本邦雄『日本詩人選23 藤原俊成・藤原良経』による。旧字は新字に置き換えた)

 上の句が軽快で、リズミカルに読める一首。かつこほりかつはくだくるやまかはの、と読めばカ行音が軽快さを増してスピード感を心地よく感じさせる。かつ……かつ……という音の繰り返しが氷のイメージも引き寄せてくる。

山中の川が凍っては砕け、砕けては凍る。その砕ける音が岩の間にむせぶ暁の声と聞こえるのだという。氷が砕けるのか、波が砕けるのか。暁に声のように砕ける音が聞こえてくる。その声はまるでむせぶかのようだ。何にむせぶのだろう。暁の悲しみか。