その羽に天ひるがへし身に享くる時間せまくはなきかつばめよ

小原奈実「鳥の宴」(引用は山田航編『桜前線開架宣言』左右社、2015年による)

 スケールの大きな一首である。羽を天にひるがえすのではなく羽に天をひるがえす。それだけスケールの大きなツバメであれば、その小さな身にうける時間は狭く感じられることであろう。わたしはそうツバメに問いかける。

「時間せまくはなきか」の時間と空間がねじれたような表現もスケールの大きさに一役買っている。時間せましと飛び回るツバメは、いったいどこから飛んできてどこへ向かうのだろうか。