永井 祐


The world is mine とひくく呟けばはるけき空は迫りぬ吾に

黒瀬珂瀾『黒耀宮』

 

 

人生にはいろいろな機会がありますが、先日、今日の歌を声に出して読む機会がありました。
そのときによくわかったこと。
頭の中ではじめのところを「ワールドイズマイン」と覚えていたのですが、
読もうと思って歌を見てみると「The」がある。
この歌のはじまりって、「ザワールドイズマイン」なのか。
それで、「ザ・」を入れて音をとってみると、とてもかっこよく感じました。
ここのところ、わたし個人の感覚的な話なのかもしれないのですが、
「The」を入れてみると、初句の「ワールドイズ」6音が7音や8音に増音されて引き伸ばされるわけではなく、曲がはじまる前に一瞬早く入る音みたいに「ザ・」をシュッと入れて、
おもむろに「ワールドイズ」とはじめる形になる。
というか、そう読んでかっこいいと思った。
定冠詞「The」が幻のようになってかっこいい。
「世界」を「その・この世界」にする「The」がリズム上で特異な位置に置かれることに意味があるようにも思えてくる。

以上が今日言いたかったことなのですが、
こんな風に思うのはけっきょく、英語をカタカナ化して読んでいるからなのでしょう。
英語がそのまま歌の中にあらわれることはときどきあるし、わたしが英語の発音がだめであるということだとは思いますが、やはりどこかでカタカナ読みにしてリズムに乗せているケースのほうが多い気がします。
上句・下句まるごと英語にするとかならともかく、今日の歌みたいに「mineとひくく」と同一句内に英語と日本語を混在させるような場合、ある程度「マインとひくく」と読んでいくことになると思う。
もちろん、発音することを前提に考えなくてもいいという話もありますが。

 

邦題になるとき消えたTHEのような何かがぼくの日々に足りない  木下龍也

 

この歌を思い出します。カタカナ英語体系に入るとき「The」は消えがちなのかもしれない。今日の歌、つい「ワールドイズマイン」で覚えていた。
でも「ザ」をシュッと前に入れてみるとかっこよかった。そういう歌だったのだ。

余談ですが、音読するときに「ザ・」か「ジ・」か迷いました。世界観を考えれば、「ジ・」もいいのかもしれない。でもすこし恥ずかしい気がして「ザ・」にすることにしました。