江戸 雪


男ゆゑ男への恋が実らずと高校生が保健室で泣く

大松達知『アスタリスク』(2009年)

同性に恋をしたことがありますか。

中学生や高校生のころなら、先輩にあこがれたり、かっこよく生きている同級生を好きになったりしたことがあるというひともいるのではないだろうか。
齢をかさねるていくと、恋をするときに無意識にさまざまな壁をつくってしまう。
男だから、女だからというのもひとつの壁なのかもしれない。
男に失恋して「保健室で泣く」男子高校生のいる空間を想像すると、幼く純粋なころの、好きなだけでよかった恋がほろにがくよみがえる。

この歌のなかで、ふと、「恋が実らず」のフレーズに立ちどまる。
「恋は実らず」「恋は実らぬ」「恋が実らぬ」そして「恋が実らず」。どれもすこしずつニュアンスがちがう。「恋が実らず」には、このたび男に恋をして失恋しました、という若々しい嘆きがうまく集約されている。

ここには男が男に恋をすることへの躊躇はない。なくてもいいのだ。
「保健室」という場所、「泣く」という直截な行為、これらもこの歌のほどよいスパイスとなっている。