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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
石川 美南
同じ場所にとどまりたければ走ること(ただし黒鍵は踏まないように)
水際に夕日を引き込む重力が遠いわたしに服を脱がせる
だまっても口がへらない食卓にわたしの席がみあたらないが
生まれつきのことなんだから 凍ったりする 離さずにゆめの女の人のにおい
紙ふぶき大成功の、安田大サーカスというひとつの星座
走れトロイカ おまえの残す静寂に開く幾千もの門がある
円周に(指は潰れてしまったが)穴あけ回転木馬を降りる
シャボン玉まだ喜べる子がふたり 光の中に光が増える
父われを見むと来たれる東京の子もうれしみて席に加はる
電車でも眠ってともだちの部屋でも眠ってなんのために行ったのか
駆けつこの迅きは英雄となりて墜ち鈍足の群れに射せる黄昏
遠き国の雪積む貨車が目前(まさき)を過ぎ瞳吸はるるわれと少年
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