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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
前田 康子
アパートの二階に人の帰りきて灯すとき窓の氷柱(つらら)もともる
われといふお試し品のクレヨンで神は世界をぐるぐる描く
選挙あれば夫婦の顔してわたしたち幸せさうに投票へ行く
鮭の死を米で包んでまたさらに海苔で包んだあれが食べたい
突き出して眼下ににゅっと視野ふさぐコブハクチョウのコブとはなにか
君ならぬ車つれなう門(かど)すぎてこの日も暮れぬ南河内(みなみかはち)に
時を消すために相撲を見つつをりときどき光る行司の扇
どこまでもつづく野の道あゆみゆく継ぎ目といふのがないのが不思議
厨べにすてし茶がらは凍りつき雀は降りて餌を探すかも
よきお年をと言ふに自信のあらずしてわれの声音は曇りてしまふ
皮やぶれ真白く餅のふくるるを稚(わか)きこころに待ちをり吾れは
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