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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
都築 直子
雨荒く降り来し夜更酔い果てて寝んとす友よ明日あらば明日
片脚のなき鳩ありて脚のなきことを思わぬごとく歩きぬ
手の甲に浮く老斑の濃く淡くひと恋いしこと長く忘れず
傾けむ国ある人ぞ妬ましく姫帝によ柑子差し上ぐ
リタイヤ官吏背広着てカツカレー喰ふ憲政記念館食堂のあどけなき昼
うみ おちて つち に ながるる かき の み の ただれて あかき こころ かなし も
われに向ひて光る星あれ冬到る街に天文年鑑を買ふ
百枚のまぶたつぎつぎ閉じられてもう耳だけの町となりたり
ソヴェートの韻律はかくも新しくわれらのクラスに没日反射す
熱き息頬に触るるかと思ふまで近づかしめて射ちはなちたり
マシーンの赤きが光引きてゆく地上を愛すこの一瞬を
満月はかさぶたみたいな色をして(あれが地球の影なんだね)
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