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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
三井 修
誰も弾かぬピアノとチェンバロある家で除湿機の水をせつせと捨てる
わが庭の薔薇垣に朝のひかり差すまさしく日食まへの太陽
あじさいがまえにのめって集団で土下座をしとるようにも見える
妻も子もテレビに明日の天気見る観天望気といふを知らぬか
これが老残自然のさまか今の今己が事のみ関心にして
もやは神はひとを裁かぬ 自動式洗浄トイレに水は渦巻く
ほんたうは一度もできたことがない至極まともな雪だるま、他
不発弾と同い年なり爆弾のとびかふ時にわれら生まれて
身にあわぬ新かなのシャツとりあえず着古しゆかん選びしからは
滞空をきそえる雪をかきわけつ本局へ向かう速達出しに
午睡より醒めれば窓はあかるくてときをり空は鳥を零せり
磨かれて柱時計は帰り来ぬ。なお聴き継がむ、家の鼓動を
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