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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
ある時は小さき花瓶の側面(かたづら)にしみじみと日の飛び去るを見つ
多摩川の土手を光らせ無防備な季節は腕を組んでやって来る
逆立ちて視る風景よわたくしは芯まで熱き地球儀の脚
帰宅してあかり灯せばくらやみが箪笥のすみに逃げ込むところ
乳鉢のやさしき窪みに磨られいる硫酸銅や菫や血など
貴人(あでびと)は誰よりうけし勢力(いきほひ)ぞわれに詩あり神の授けし
狩られては低き草生に身を伏せてかつがつ在るを鳥とおもふな
軋みつつ人々はまた墓碑のごとこの夕暮れのオールを立てる
春の大気かぶりを振ってまぜかへすレトリーバーの毛脚ふかぶか
掌のとどくはるかな位置に黒曜の髪の澄みつつ少年のあり
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