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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
江戸 雪
横抱きにしてベッドまで運ぶ母野菜に近き軽さなりけり
トンネルをいくつも抜けて会いにゆく何度も生まれ直して私は
雨だから迎えに来てって言ったのに傘も差さず裸足で来やがって
言い訳はしないましてやきみのせいにしないわたしが行く場所のこと
すがすがとすこしさびしく今日は白露 母の伸びたる白髪切るらむ
野イバラが素足に痛くて今きみをみたら泣いてしまうなきっと
木の匂いする言葉かな今君がわが耳近くささやきたるは
我のみが知る記念日は数ありてそのたびひとりのさびしさに気付く
男(お)の幼なわが膝に顔を打ち伏せてしばらく居たり何をも言わず
きみが父となる日の暮れの灰色の魚とおもうわがひだりうで
いとけなく泣きて帰りし裏の辻今病む父を尋ねゆく道
わが額にかそか触るるはわが髪にあらねはるけき岬(さき)に潮(しお)鳴る
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