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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
江戸 雪
折々の母老いしむる「ありがとね」その不可思議な響きのにがさ
万緑に隧道(トンネル)ふかく穿たれてあばら骨愛しぬきたる闇
遠いドアひらけば真夏 沈みゆく思ひのためにする黙秘あり
かなかなやわれを残りの時間ごと欲しと言いける声の寂しさ
一片の空にこと足りてあり経れば切切と君の手紙は届く
男ゆゑ男への恋が実らずと高校生が保健室で泣く
蜩(ひぐらし)の声あるごとし山のにほひあるごとし心しづめがたしも
会えるとは思わなかった 夏が麻痺してゆく船の倉庫のかげで
無縁なるものの優しさ持ち合ひて草食む牛とわれとの日昏れ
愛を告げすぎて不安になるこころあまたなるゆすらうめの実のゆれ
ともにゐてかなしいときにかなしいと言はせて呉れるひとはゐますか
君こそ淋しがらんか ひまわりのずばぬけて明るいあのさびしさに
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