コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
三井 修
ぷつぷつと突起のありてオルゴール春の夕べはひときはやさし
原色の傘を差す子よ おまへとはまだ混じるべき色もたぬ生
悲しめる暇(いとま)あらぬを許したまへ父の遺影をけさは浄むる
〈神経は死んでいます〉と歯科医師は告げたりわれの初めての死を
セーラー服の身を折り曲げて笑ひあふ少女の時間あをき風ふく
新婚の夏果てにけり逆さまにワイングラスの羅列のひかり
勤勉な時計と手帳は仕舞いましょう静かにそそぐカモミールティー
近づく人椿を踏めり仔細もつ人と思ひてすれちがいたり
俺の書いた歌集をTに送ろうか風船につけて飛ばす気分で
麗しき朝のひととき帆を展くこの繰り返しが人にもあれよ
テレビジョン消せば画面の中心に引きこまれゆく部屋が映りぬ
ごきげんよう お美しいわ またお逢ひいたしませう 以上みな嘘
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
7
固定ページ
8
固定ページ
9
…
固定ページ
13
次のページ