2014年05月のアーカイブ

まむかへば天そそり立つ足助山寄りくるごとくいよよきびしく

つくづくと君男なりいち早くカワセミ見つける動体視力

いづくにかわれは宿らむ高島の勝野の原にこの日暮れなば

プリントを授業で配るそれだけでありがとうを言う子供らがいる

やがて来む終の日思ひ限りなき生命を思ひほゝ笑みて居ぬ

たて笛に遠すぎる穴があつたでせう さういふ感じに何かがとほい

平安のかたちを保ちゐし雲の夕されば涅槃のいろにくづれぬ

老眼鏡掛くれば延びる生命線このさびしさに慣れねばならぬ

天道をうつらうつらと渉りゐる日はふるさとへこころをはこぶ

昼どきになればスパナも錆捻子も散らかせるまま飯くひにゆく

雨暗く/部屋の明かりが輝けり/甦りといふことを思へる

敷くためにあらずからだをくるむための白きシーツをときどきおもふ

貴重な終身刑の残り日を素直に生きむひと日ひと日を

でで蟲の身は痩せこけて肩書の殻のみなるを負へる我はも

まだまだとおもいてすごしおるうちに はや死のみちへむかうものなり

夕がたの日影(ひかげ)うつくしき若草(わかくさ)野(の)体(からだ)ひかりて飛び立つ蛙等(かはづら)

おもしろきこともなき世におもしろくすみなすものは心なりけり

狂うことなくなりてより時計への愛着もまた薄れゆきしか

君がためつくす心は水の泡消えにし後ぞすみ渡るべき

十六歳の君の写真が見下ろすは柩に眠る十八歳の君

いまよりはなるにまかせて行末の春をかぞへよ人の心に

常通る汽車の火の粉に焼けたりし露草の花曼珠沙華(まんじゅしゃげ)の花

すくすくと生ひたつ麦に腹すりて燕飛びくる春の山はた

過去形を使った文を作らせて母の亡きこといまさらに知る

朴の木の芽吹きのしたにかそかなる息するわれは春の山びと

大川にあと白浪の春立ちて名探偵もねぶたかりけり

霞立つながき春日に子供らと手毬つきつつこの日暮らしつ

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