2016年01月のアーカイブ

鈴鹿嶺に雪ふりつみてはるかなる稜線はわがまなかいに冴ゆ

歌の作者を知るゆゑ配慮あるらしき批評も聴きぬ被災地の歌会

意志ぢやなく空気でうごく会議室ありぬ戸外におよぐ蘭鋳

たれか死に動かぬ電車にひとびとは顔をあげずにメールを打ちぬ

行けるまで行こうと夫とつれだちて幼のごとく新雪をふむ

旧姓と新姓われをつかひわけ旧姓のときのびやかにゐる

シクロホスファミドの袋を御守りのように思いき素人であれば

欠けそめてゐるをさらしてのぼり来し冬十六夜のさびしき面(おもて)

ベッド柵にローソンの袋を結わえてゴミ袋にして、ここにあなた、昨日あなたを吊ろうとしていた

卵黄を白パンをもて拭うときよべ見し夢を忘れてありぬ

みんなもう忘れかけてるとりどりにスカイツリー色をかえてきれいだ

ふくませしロタワクチンをみどり児が飲み込むまでをわれら見守る

途中にて乗換の電車なくなりしに、 /泣かうかと思ひき。 /雨も降りてゐき。

あらゆるルートをさぐるといふが、らすかる國への飛行ルートさへも

「歌詠みに砂漠は合わぬ」簡潔に書かれし文にひとひこだわる

今日もまた捨身の赤に落つる陽を山はしづかに全身に受く

エルサレムのどの食堂にもCoca-Cola並んで赤い闇、冷えてます

とどかない場所あることをさびしんで掌はくりかえし首筋あらう

背かれた悔より愛しすぎた悔 青い鳥などこの世にゐない

松や春 就職決まりし子の一生(ひとよ)を見渡すさびしさかつておもわず

ヌマタラウとこゑに出だしてよびやればヒシクイ雁自らの名を知る者を見め

和紙の上跳ねる蘭鋳(らんちゅう)あかあかと鮒ゆ進化の果てを腫らして

少しずつ角度違えて立っている三博士もう春が来ている

逆立った髪の先から燃えてゆく裸になった白いそうそく

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