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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2016年12月
元日すでに薄埃あるテーブルのひかりしづかにこれからを問ふ
時刻表は褪せて西日に読めざりき岬の鼻に待つ風のバス
オリオンはさやかに高しわれ二十歳みにくけれどもおもてを伏せず
死の時間近づく人に「おだいじに」とはいへぬただ礼(ゐや)にて離る
マンホールの蓋を持ち上げ残雪を捨てて世界はまた春になる
病廊を清掃しゆく機器の音遠ざかり日曜の夕ぐれが来る
角砂糖角[かど]ほろほろに悲しき日窓硝子唾[つ]もて濡らせしはいつ
おおよその若き日を知る友どちと湯葉のお煮染め茶の間に食ぶ
よろこびが引いていくとき湖面から静かに現れる人力車
太陽を迎える準備はできている菜の花畑に仁王立ちする
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