2017年06月のアーカイブ

このビルの完成予定のきょうまでになんか変わっているはずだった

息子とは見るものが違い朝雲のバックミラーを俺は動かす

違う世にあらば覇王となるはずの彼と僕とが観覧車にゐる

わらべペダルの上に身を立ててこのつゆばれの夕べをきたる

銀行に銀の冷房臭みちて他人(ひと)の記憶のなかを生きをり

寒あおぞらかぎるもの見ずたかひかる米軍制空権のとうめい

下じきをくにゃりくにゃりと鳴らしつつ前世の記憶よみがえる夜

チャーハンの写真を撮つてチャーハンを過去にしてからなよなよと食ふ

はい、あたし生まれ変わったら君になりたいくらいに君が好きです。

人齢をはるかに超える樹下に来て仰ぐなり噫、とてもかなはぬ

予定日は桜桃忌にて霧深しわが子の晩年をなつかしむ

みづからの雨のしたたりにあぢさゐの花は揺るるにおのおのにして

人間の生まれる前は人間の生まれる確率0だつた星

身はたとへ武蔵の野べに朽つるともとゞめ置かまし日本魂やまとだましひ

鋪装厚き道にて人は行き交へり豊かに生まれうまれ継ぎつつ

塹壕に最後までありて死行きし娘子軍ぢやうしぐんの死体まだ暖かに

死んだつてひとりぼつちだ生きたつてひとりぼつちだ世界は馬鹿だ

ゆるきゃらの群るるをみれば暗き世の百鬼夜行のあはれ滲める

ぼくは流す
やさしいオンガク空のほう
人生のリセットボタンをおすとき

ほととぎす霧這ひ歩く大空のつづきの廊の冷たきに聞く

髪の毛をしきりにいじり空を見る 生まれたらもう傷ついていた

手をたれて(いま手をたれて病むひとの手の数に慄然と)われあり

(しはぶき)不意に出る心地してああぼくは一千年を生きねばならぬ

垂直に振子ぞ垂れて動かざる時計ひとつありわが枕がみ

6月の2日の朝に夏が来てあなたに会うので夏バテしそう

なにげなく摑んだ指に冷たくて手すりを夏の骨と思えり

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