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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
今井 恵子
衰ふるわが眼のために咲きそむるミモザの黄なる大き花房
浦の名をうなゐに問へば知らざりき少女に問へば羞ぢて答へぬ
空白について考えようとしてその人が立つ窓辺を思う
朝に飲むコップの水のうまきこと今飲むごとく話す父はも
<石炭をば早や積み果て>て近代の暗礁に乗り上げたる船は
妻病みて七年たちぬ非日常が日常となるまでの歳月
地下デパートのゆき止まりに鸚鵡みじろがず人寄ればわづかに目開けまた閉づ
雲よむかし初めてここの野に立ちて草刈りし人にかくも照りしか
さくらばな陽に泡立つを目守まもりゐるこの冥き遊星に人と生れて
ちる花はかずかぎりなしことごとく光をひきて谷にゆくかも
今宵、月にシルバーベッドの影が見え老いたる鶴がひとりづつ臥す
浅草の地下に溜れる浮浪児を父の肩より見しを忘れず
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