大松 達知


何か含める友の饒舌と思へればはためくカーテンを括(くく)らむと立つ

                                        大西民子『まぼろしの椅子』(1956)

 

 指折り音数を数えると、7・8・5・9・7である。

 この字余り感が、ふたりのぎくしゃくした会話、不穏な雰囲気を感じさせる要因だろう。

 歌は意味内容よりも、リズムの乱れの方が、濃厚に作者の思いを伝える、ということがよくわかる歌だ。こういう場合に、すっきりと定型に収まっては物足りない。

 

 ドラマの一シーンを見るような印象がある。

 午後のアンニュイな雰囲気の中、向き合って温いお茶を飲んでいる二人の女性。

 口数多く、明るくふるまっている相手の言葉の端々には、なにか険がある。それが何かはわからない。が、第三者に対しての愚痴などでなく、嫉妬や恨みなど、作者に向かってくるものだ。じわりじわりと自分を締め付けてくる言葉の怖さ。

 

 カーテンがはためくという小道具が、「饒舌」と付きすぎなほどうまく付いている。

 立ち上がって背中を見せたときには、相手の視線が痛かったにちがいない。