吉田 隼人


そうだよこれは夢からこぼれ落ちた炎 胸に灯してまた夢を見る

N/W「他人の鳥」(Website「TOM」より)

 どの連作を見ても、すべてがはかない夢のようで、取り戻せない過去のようで、ただノスタルジアに身を焦がすしかないような、自分にとってはそんな作者の歌である。井上法子とか小林朗人とか、近い年代に似たような作風の歌人を挙げることは難しくないのだけれど、この人の歌は、取り返しが付かない、もう戻れない、そんなシクシクと古傷のように痛む、しかし甘ったるいほど甘美な感情を刺激する点で、自分のなかでは区別されている。
夢を見て、つかのまうつつに戻り、けれども夢のしっぽを引きずったまま、また意志的に夢の中へと戻っていく。休日の朝の二度寝になぞらえてもよさそうな場面が、しかし黄昏か、せめて深夜の寂しさの中に置いてみたくなる光を放っている。あなたはガス灯のガラスのように透明だ。そしてひとたび割れてしまえば手の施しようがない。